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PMSの原因3

糖質の摂りすぎのお話をしましたが、最後にもう一つ意外な原因を教えます。
これもほとんどのお医者さんがご存じないのですが、実は鉄欠乏です。
鉄欠乏=貧血と理解している方も多いと思いますが、厳密には違います。

鉄欠乏には2種類あります。
①鉄欠乏性貧血(いわゆる貧血)
 成人では男性Hb13g/dl、女性12g/dl以下がこれに該当します。
②低フェリチン血症
フェリチン値が低い。通常の検診や検査ではフェリチンは検査しないので見逃される。
どれくらいの値を低いとみなすか明確な基準は定まっていないが、80ng/ml以下は欠乏であるケースが多い。とくに20ng/ml以下は重症。

フェリチンとは肝臓に蓄えられている貯金の鉄です。
いざというときのために人間は鉄分を貯金として備蓄しているのですが、鉄が欠乏してくるとまずは貯金の鉄であるフェリチンを使います。貯金すらも使い果たし、フェリチンがなくなったら、血液中に流れているHbを消費するようになり本物の貧血になります。
実は、この貯金であるフェリチンが欠乏するだけで貧血そっくりの症状がでます。
貧血症状で、病院で採血したけど何ともないと言われたことのある患者さんも多いと思いますが、たいていは低フェリチンが原因です。


PMSで悩んでいる患者さんの場合、見逃されやすい低フェリチン血症が原因になっている場合が多いです。
低フェリチンの患者さんの特徴を以下に示します。

①たちくらみ、めまい、耳鳴りがする
②頭痛持ち。
③アザができやすい
④喉がつかえる
⑤朝弱い。起きるのがつらい。
⑥夕方に疲れて横になる
⑦頬にシミができた または既にある。
⑧クヨクヨする。

低フェリチンの女性の顔の特徴はまずシミがあること。頭痛持ちでシミがあれば
かなり可能性大です。
貧血=色白できれいな女性  というイメージは確かに本当ですが
それは20代前半まで。30歳すぎると頬にシミが出始めて、顔色がくすんできます。
美容の大敵は鉄欠乏です。

次回は鉄欠乏の治療法について説明します。
# by ikomatomomiclinic | 2013-08-09 13:58 | 生理に関する話

PMSの原因2

最近増えているPMS。
しかも意外な原因で、ほとんどのお医者さんに知られていないもの・・・

それは糖質の摂りすぎです。

今の女性は子供のころから、甘いものや炭水化物いっぱいの食事をしています。
ジュース、チョコレート、キャンディーにラーメン、オムライス、カレーライスなど
巷にあふれる糖質の数々。

こういう食生活を長年続けていますと、中高年になれば糖尿病なのですが、
若い人はいきなり糖尿病にはなりません。

メンタルな症状を引き起こすのです。
調節が乱れて、血糖値が大きく上下します。
すると、イライラ、抑うつなどメンタルな症状を引き起こします。
病院の検査では、みつけることができないので、まず診断されることはありません。

PMSの患者さんの場合、ホルモンの影響が加わって、
血糖が大きく乱れているものと思われます。ピルが効かない患者さんは、
このような血糖の異常が原因であることが多いので、まずは食事を変えてみましょう。

どうすればよいのか?
糖質と炭水化物を一切食べないのが一番です。
いわゆる、糖質制限という食事法です。
最近は糖尿病の新たな食事療法やダイエット法としてもテレビや雑誌で
見受けられますが、まさにそれと同じことをすればいいのです。
お腹が空くので、カロリー制限はしませんが、それでも太ることはありません。

実際に炭水化物と甘い糖分をきっぱり止めただけで、PMSがわずか2週間で治った患者さんもいます。
クスリなしで、食事だけでPMSが治るなんてすごいと思いませんか?
PMSでお悩みの方で、そういえば甘いものや炭水化物をよく食べていたなあと
思い当たる節のある人は、まずは糖質制限を1か月間お試しを。
心のバランスが安定してきます。
# by ikomatomomiclinic | 2013-04-13 15:37 | 生理に関する話

PMSの原因1

PMSの原因にはいくつかあります。一般的に言われている原因としては、
①排卵によるホルモンの影響
②ビタミンB欠乏
③ストレス

ですから、リフレッシュすることを生活指導としておススメします。ストレスはビタミンBを消耗させるので、厳密に言えば、②と③は互いに影響しあいます。とはいっても、現代のストレス社会・・・
リフレッシュだけでPMSが治るほど、状況は簡単ではありません。

そこで、薬という選択肢がでてきます。
排卵することがPMSを起こすのだから、排卵を止めれば良いわけです。
ピルは避妊薬として使用されていますが、これは排卵を止めるからです。
したがって、PMSの治療にはピルがよく処方されます。

医学の教科書にもPMSの治療にピルが有効であると書かれています。
ピルは確かにPMSによく効きます。
しかし、ことはそんなに簡単ではありません。
教科書に書いているマニュアルどおりの治療で、皆が良くなってくれたら
われわれ医師は本当に助かるのですが、どういうわけか、教科書どおりに効いてくれない患者さんもいるのです。
こういう患者さんは私たちを悩ませます。
ピルが効かないPMSの人ってどういうことだろう?

いろいろ勉強しても、産婦人科の教科書には答えは見つかりませんでしたが、
栄養学のセミナーに参加したことがきっかけで、別の原因を突き止めることができました。

続きは次回。
# by ikomatomomiclinic | 2013-04-09 11:30 | 生理に関する話

生理前に体調の悪くなる方へ

生理前になると、倦怠感、眠気、イライラ、過食、気分の落ち込み、むくみ、頭痛など

不快な症状がでて、生理になると自然に良くなることをPMS(月経前緊張症候群)と言います。

多少なりともほとんどの女性は自覚していると思いますが、その程度がひどくて仕事に

支障をきたしたり家族や友人、恋人にも悪影響を及ぼしている場合は

治療したほうが、幸せな人生を送れるかもしれません。

PMSの患者さんのメンタルな症状は本人の努力では抑えきれないくらい強く、つい暴

言を吐いてしまい、周囲から孤立しがちです。

美人なのに恋人になぜか振られる女性や、職場を転々とする女性は、もしかして

PMSかもしれません。

まずは自分の症状がPMSであるかどうかを自覚することが必要で

カレンダーに症状を記載していくことで客観的に判断できます。

つらい症状が生理前に集中していたらそれはPMSの症状かもしれません。
# by ikomatomomiclinic | 2013-04-02 16:49 | 生理に関する話

更年期障害の治療法

更年期障害になった場合、どのような治療法があるのでしょうか。
主に3つの治療法があります。

①女性ホルモン補充療法
②漢方治療
③プラセンタ治療

の3つです。

女性ホルモン補充療法というのは、女性ホルモンを飲み薬や貼り薬として
使う治療です。そもそも更年期障害というのは加齢により卵巣の働きが衰えて
女性ホルモンが減ったことが原因ですから、それを薬で補充すれば良いというわけです。
効果は素晴らしく良く効きます。

ただし、欠点もあります。
副作用に、脳卒中や心筋梗塞など血栓症のリスクが高くなることや、5年以上続けた場合は乳がんのリスクも高くなることがわかっています。
したがって、誰でもこの治療を受けられるわけではなく、すでに乳がんになっている人や
血栓症になったことのある人などは受けることはできません。


漢方治療は、漢方薬を飲んで、つらい症状を緩和するものです。
更年期の症状に加えて、冷え症や肩こりが一緒に改善するケースもあります。
効果には個人差がありますが、びっくりするくらい良く効く人もいます。
副作用も少ないので、女性ホルモン補充療法にためらいを感じる患者さんでも
漢方なら試してみようかしらという方も多く、始めやすいのが利点です。

ただし、漢方治療は全ての産婦人科の先生ができるわけではないので
漢方を使いこなせる先生を探す必要があります。
自費診療と保険診療の両方がありますので、治療を受ける前に
自費になるのか保険になるのかを確認しましょう。

最後にプラセンタ治療です。
胎盤から抽出したエキスのことをプラセンタエキスといいます。
それを注射やサプリメントで補う治療です。
美容にも良いので、化粧品などにも利用されていますが、実は更年期障害の治療にも有効です。
こちらも素晴らしく効果があります。
疲労や肩こり、冷えなども改善します。

こちらも自費診療と保険診療の両方がありますので、治療を受ける前に自費になるのか保険になるのかを確認しましょう。また、注射の治療を受ける場合は、献血ができなくなるのでご注意ください。献血できなくなるのは嫌な人は、サプリメントを選ぶか他の治療法を選択しましょう。


上記3つの治療で、どれが一番良いのかと良く尋ねられますが
そもそも一番いい方法があるなら、私たちもその治療をおススメします。
でも更年期障害の治療法には一番がないのです。
患者さんひとりひとりによって体質も症状も違うからです。
ですから、患者さんが最も興味があり、望む治療が一番良いのです。
一つ試して効果が実感できなければ、別の選択肢も試してみれば良いのです。
それで自分に最も適した治療法がわかるからです。

自分に合った治療法に出会えた時、患者さんは目に見えて元気になっていきます。
「今までの我慢が何だったのか、もっと早く始めれば良かった」という患者さんの多いこと!

患者さんが元気になってくれるなら、どの治療法でも医師としては満足なのです。
そういう姿を見るにつけ、治療は医師が押し付けるものではなく、患者さんの決定権が最も大切なのだと感じさせられます。
# by ikomatomomiclinic | 2012-02-08 19:16 | 更年期の話