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子宮頸がん検診の舞台裏 その1

子宮頸がん検診では、医者はカーテンの向こう側で、何をしているのか?
それがわかると、皆さんも検診を受けるときの不安感が解消されると思います。

まず、私たち医師は、クスコと呼ばれる、器具を膣の中に挿入します。
クスコは写真にも示したように、アヒルのクチバシみたいな形をしていて、
ちょうどクチバシが開いたり閉じたりするように
前後に開閉するようになっています。

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クスコにはサイズがいろいろあって、膣が広い人には
大きめのクスコを、膣が狭い人には小さめのクスコを使用します。
SSSサイズからLサイズまで、そろっています。

クスコを挿入されるとき、金属特有の冷たい感覚を感じる人もいる
と思いますが、挿入する操作自体に痛みはありません。

次に、検査をしたい場所である子宮の入り口を診察するために
閉じていたクスコを開きます。
ちょうどアヒルのクチバシが大きく開いた状態になります。

このときに患者さんが緊張して、体に力が入っていたりすると、
膣の筋肉も緊張して硬くなっていますので、クスコを開いたときに抵抗があり
痛みを感じてしまいます。
できるだけ力を抜くことが痛くない内診を受けるコツです。

患者さんはよく、あの先生は内診が痛かったとか、あの先生は痛くなかったから
上手だったとか、いろいろ、評価していますが、内診時の痛みの原因は
医師の力量によるものだけとは限りません。

ひとつの原因は、患者さんの膣が平均よりも狭い場合。
小さいクスコを使っても、それでも痛い場合があります。
出産経験がない若い女性や、閉経した女性に多いです。

もう一つの原因は、患者さんが緊張していて、お腹に力がはいっている場合。
こういう場合は、我々医師は、患者さんに力をもっと抜くようにリラックスを促します。
とにかく緊張のしすぎが一番よくありません。
口を開いて、股の力を抜くことが、痛くない内診を受ける一番のコツです。




話を子宮がん検診のやり方に戻しましょう。

膣の中に挿入したクスコを開くと、子宮頸部といわれる子宮の入り口が見えます。

そしたら、そこを綿棒やブラシでチョコチョコとこするのです。
こするときに、鈍い痛みを感じることがありますが、正確な検査をするために
充分に細胞をとってくる必要がありますので、ここは少し我慢かもしれません。

こすったブラシは、ガラスに塗りつけて、検査室に提出します。
(また最近は、ガラスではなく、液体の容器に回収させる方法もあります。)

ここまで終えると、クスコを閉じ、そっと膣から取り出します。
これで子宮頸がん検診が終了します。

時間にしてわずか数秒程度だと思います。

では、検査で採取した子宮の細胞は、その後、どう検査されていくのか?

次回にお話しいたしましょう。
by ikomatomomiclinic | 2010-11-15 17:30 | 子宮頸がんの話
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