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ピルの話 その1

ピルの話がでたついでに、ここでピルについて詳しい話をしてみましょう。

ピルとは飲み薬の避妊薬のことです。
中身は女性ホルモン剤です。

排卵を止める働きがあるので避妊に効果があるのですが、
実は、日本では避妊だけのためにピルを飲む人はそう多くありません。

日本でピルを使う目的のほとんどは、鎮痛剤でも効かない重症の生理痛の治療や
月経不順の治療のためです。
他に月経前緊張症候群という病気や子宮内膜症の治療にも使われたりします。

最近では生理痛や子宮内膜症の患者さんに対しては、健康保険も効くようになりました。

このように、治療のためにピルを使うというのは、我々産婦人科医の中では常識なのですが
一般の患者さんには受け入れがたいのか、外来でピルを勧めても患者さんの反応はいまひとつです。


「え~っ、ピル!    う~ん……」
みたいな感じで、初めは反射的に拒否反応を示す患者さんがほとんどです。

なかには、生理痛があるのでピルを処方されたにもかかわらず、
それを飲まずに、本当にこれで良いのかセカンドオピニオンを聞くために、
わざわざ別の病院を相談する患者さんもいらっしゃいます。

それくらい、ピルを飲むというのは患者さんにとっては重要な決断のようです。
できればピル以外の治療法があればそれを先に試したいという
患者さんの本音が見え隠れしています。

私も、医師として駆け出しのころは、医学書にもピルが治療法であると書いてある
ものですから教科書を忠実に守って、治療の必要性があればピルを勧めていました。

しかし、拒否反応をする患者さんがあまりにも多いので、結局はピルを処方せずに
様子をみるだけにとどまるのが現状でした。
無理やりピルを処方しても、患者さんが納得していなければ
それっきり病院に来なくなるだけだからです。

ピル以外での治療法のニーズが高いので、現在では、漢方治療も取り入れるようにしました。

今では、治療の選択肢に幅を持たせて、ピル以外の治療法も説明することで、
患者さんが最も興味を示した治療法から始めるようにしています。
そうするとだいたい患者さんの好みは、ピルと漢方、大体半々ぐらいに分かれます。

次回は、ピルの副作用について説明していきましょう。
by ikomatomomiclinic | 2011-02-04 17:30 | ピルの話
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